東洋医学 命の源「気(三宝)」

東洋医学では、人体は大きく別けて「気の類」「形の類」「経絡の類」の3つの要素から成り立っていると考えられています。

 

-気の類とは、生体を機能するもので「精」「神」「気」があります。これを「三宝」とも言います。

-形の類とは、身体を形づくるものをいいます。臓腑と互官・五主・五液・五華などの臓腑を中心とした蔵象があります。
-経絡の類とは、気血の通路の事です。体幹・四肢・体表と臓腑など機能と構造を連携するもので、経絡・経脈・経穴があります。

難しい言葉がありますが、まあ漠然とこんなのがあると思っていただければ結構です。

では、これら3つの要素についてさらに詳しく説明していきます。

 

~気の生成~

 

①三宝の「精」

「精」は気や形の類の源です。これには「先天の精」と「後天の精」があります。

「先天の精」は精の本体となる物質で「私たちの両親から受け継いだ精」の事です。大変重要で、人体の組織や器官を構成・成長させる大本となります。臓腑では「腎」がこれにあたり、後に述べます「後天の精」から絶えず補充されます。基本的な生命活動である「発育・成熟・生殖」を起動させることから、東洋医学で言う腎気が不足(虚)すると、それらの基本活動に影響が出ると考えられています。(あくまでもここでは簡単に述べています)

「後天の精」は「天の陽気」(清気)を呼吸により肺に取り込んで得る精(宗気)と「地の陰気」(穀気)という食物から得られる精(営気と衛気)の事です。これは、先に述べました「先天の精」を補給し生命活動を支える働きをします。また、これは体外から精を取り込み、体内で* 気・血・津液を作り出しているため、これらを生成する臓腑の乱れは「後天の精」に影響が出ます。

*気・血・津液・・・とは、臓腑・器官・経絡などの生理活動を営む源で人体生命活動を維持するための重要な物質のことです。

 

②三宝の「神」

神(神気)は五臓の中に納まりていて、生命活動を支配・統制している気のことです。・・・?。つまり、五臓とは、肝・心・脾・肺・腎のことなのですが・・・

「肝」の中には神気の「魂」「意」が納まります。「魂」は名のとおり「たましい」(陽性の霊)のことで、これは人格を形成し本性を支えるため自信や認識能力に関係します。「意」は単純な記憶や思考など、思ったり覚えるといった行為がこれにあたります。

「心」の中には神気の「神」が納まり、神気の中でも最上位にあります。あらゆる生命活動(五感や脈拍、精神、運動、言語、感情など)を司っています。

「脾」の中には神気の「智」が納まります知的な思慮活動に関与します。

「肺」の中には神気の「ハク」が納まります。漢字変換では通常出ない漢字で白に鬼と書きます。これは、魂と対照的な陰性の霊で本能的行動や習慣、注意力などを形成する神気です。これが虚すると物覚えや注意力が低下し自分勝手な行動をとったりします。

「腎」の中には神気の「志」が納まっています。目的意識や思いの持続などにかかわります。

 

③三宝の「気」

気には、大きくわけて「原気」「宗気」「営気」「衛気」があります。

「原気」は両親から受け継いだ「先天の精」と地の陰気から得た「後天の精」から生成され、臍下丹田の下焦・・わかりやすく言うと、おへその下に集まります。生命活動の原動力となり、食欲・性欲・生命などの基礎活力として働きます。

*ご自身のお腹を触ってみてください。

この原気が旺盛だと下腹部に張りがあり、力が入ります。この状態だと、臓腑・器官が力強く働き病気にかかりにくいと言われます。また、衰弱すると反対になります。

あなたはいかがでしょうか?

「宗気」は「後天の精」と呼吸によって取り入れられた天の陽気が肺で交わって胸中に集まる気のことです。

「営気」は「後天の精」から得られる「陰性の水穀の精気」のことで、血液中をめぐり身体を栄養します。

「衛気」も営気と同じく「後天の精」から得られる「水穀の精気」なのですが、こちらは「陽性」の気です。ですので、水穀のカン気とも呼ばれます。

営気と衛気は同じ後天の精から得られるのに、どうして陰と陽にわかれるの?って思われますよね。

身体の中は「陰」に属し体表は「陽」に属すからです。ですので、「営気」と「衛気」は同じ「後天の精」から得られるのですが陰陽にわかれ、「営気」は脈中をめぐり身体を滋養し、「衛気」は体表を守り外邪の進入を防いでいるのです。

このように単に「気」といっても様々な種類があり性質も様々なことがおわかりになったと思います。日本語には「気」を使った単語が沢山ありますよね。「元気」「根気」「やる気」「勇気」・・・などもこれら「気」の事なのです。「営気」とかは宴会の席で「今日は営気を養って・・・」なんて聞いたことがありませんか?

東洋医学ではこれらの「気」を最重要視していて、気のめぐりを整える事により血や津液の流れも促進されお身体全体の不調が整い、未病を防ぐと考えられているのです。経絡はこの気が通る道路のようなもので頭の先から足の先まで全身に張り巡らされていて、臓腑と連絡し合っています。道路には関所があって、臓腑の反応が出たりします。それが経穴(つぼ)と言う訳です。この経穴は反応点であり治療点で臨床上上大変重要です。気のめぐりを整える事としては、鍼灸や推拿、気功やヨガ、漢方、薬膳など様々な方法がありますが、ご家庭では呼吸法を意識したストレッチや瞑想などで心身のリフレッシュをされてみてはいかがでしょうか?

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