半身浴のすすめ

 現代社会では、ストレス等の影響により自律神経のバランスが乱れ、便秘や下痢(交互に繰り返す事を過敏性大腸炎といいます)、不眠、肩こりなどからくる筋緊張性の頭痛といった心身症でお悩みの方が多いようです。私が施術する患者さんからもこれらの症状のご相談を受ける事がかなりの頻度であります。

施術を定期的に受ける事ができればいいのですが、忙しい毎日ですのでそうもいかないのが現実です。ですので患者さんには必ず自宅でできるセルフケアを指導しています。

色々ある自律神経のセルフケアで最もお勧めなのが、半身浴もしくは足湯です。以前にもこのサイトでは温熱効果についてお話した事がありますが、身体を温めることは大変有効です。人間は寝ているときに身体の調節をしているといわれるくらい睡眠は大切なのですが、その良い眠り作りをする上でも重要です。疲れなどを訴える人の多くが、寝ても疲れが取れないだとか寝付けない、寝起きが悪いといった睡眠障害を持っている方が多い傾向にあります。そこで、快適な睡眠を得るためには温めて冷えや疲れを取らなくてはいけません。冷えや疲れは足元からきます。

東洋医学的にはの働きを低下させます。腎は先天の精と後天の精が集まるところで「作強の官」といわれ「納気を主る」最も重要なところなのです。*詳しくは「三宝」をご参照下さい。冷えは腎経の経絡が始まる「湧泉」から伝わり腎に影響を与えます。すると「原気」の源である腎気の力が落ちて疲労するわけです。
また、「視・歩・坐・伏・立」(これを五労といいます)の過度な動作は五行では「肝・心・脾・肺・腎」に、またはその表裏(胆・小腸・胃・大腸・膀胱)に影響を与えると考えられています。ちなみに「腎」は「立」、その表裏関係は「膀胱」です。

西洋医学的に見ても心臓から遠い場所にある下半身には静脈血が多く、またその中の「貯蔵血」が多いため冷えやすい所です。さらに、筋力の少ない女性や長時間の立ち仕事、デスクワークなどによるむくみの影響は追い討ちをかけています。

そこで、半身浴や足湯は東西医学的にみても良いでしょう。ポイントは簡単で温めている時に軽くふくらはぎを心臓の方向へ向かって擦って下さい。揉むと尚いいでしょう。痛いくらい強くする必要は全くありません。(触圧感の神経線維は痛覚よりも伝道速度が速いためです)

そして、膝の裏や鼠径部も同じように刺激を加えて下さい。リンパ節がある事と、動静脈、神経が集まっているためです。

一度と言わず毎日でもお試し下さい。毎日シャワーだけで睡眠時間を20分長くするよりも、その分ゆっくりお湯に使ったほうが疲れは取れます。そして睡眠の状態も良くなり、翌朝の疲労感が違ってくるでしょう。

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