炎症

日常生活の中で擦り傷や切り傷、打ち身などは、比較的起こりやすい怪我です。そのとき、怪我をした患部が腫れたり(腫脹)(発赤)、痛みが発したり(疼痛)、熱を持ったり(発熱)機能障害を起こしたりします。これらの反応は炎症の5大反応と言われています。

これらの反応は、人体が外傷に対する防御反応(治癒反応)と言えるもので、生体自身が産生する「ケミカルメディエーター」(化学仲介物質)の作用により発生します。

サイトカインやヒスタミン、セロトンニンなど、なんとなく健康番組などで耳にした事がありませんか?例えばヒスタミンは花粉症などアレルギー症状に関与していると言われます。マスト細胞や好塩基球の顆粒中に蓄えられているのですが、これが皮膚の表層で働くと「かゆみ」として働き、深部で働くと「痛み」として感じたりします。花粉症の方は、鼻がムズムズしたりクシャミや鼻水大変です。これは、鼻の粘膜上で列記とした炎症反応を起こした結果起こる生体防御反応なのです。(アレルギーは免疫反応が過剰な状態です。ここではこのくらいの説明で。)

その他ケミカルメディエーターの例としては、損傷を受けた細胞内から「カリウムイオン」が、血液の成分で凝固作用のある血小板から「セロトニン」が、キニン類からは「ブラジキニン」・・・等が遊離し、結果、受容器を刺激していると言う訳です。

かゆみや痛み、いくら治癒反応と言っても何とかしたい所です。そこで一般的によく用いられているお薬が、消炎鎮痛剤です。これは、炎症反応で発生するプロスタグランジン(後から詳しく説明します)という仲介物質を抑制する働きがあり、結果痛みを抑えます。

現代薬の中で最も需要が多いのは、このプロスタグランジンの作用を抑制する「消炎鎮痛剤」と言われています。

何度も述べていますが痛みそのものは、体が症状を治そうとすることから起こる「治癒反応」です。つまり、消炎鎮痛剤で痛みそのものをとると言うことは、治癒反応の過程に水をさすようなものなので、我慢できる痛みであれば薬の使用を控えて様子を見たほうが良いでしょう。

しかし、痛みなど我慢の限界を超えそうなときは、薬を使用して痛みを和らげることは大切です。治癒反応の際、痛みを誘導するプロスタグランジンは、「シクロオキシゲナーゼ(COX)」と言う酵素(体内の化学反応を促進する物質)から作られます。

COXには「COX1」と「COX2」があって、この発痛増強物質が特に痛みに関与しています。(発痛物資にブラジキニン等がですが、これ自体が発する痛みは強いものではなく、プロスタグランジンによる増強作用が直接的に痛みに関与しています。)

それでは、この「COX」とはいったいどの様なものなのでしょうか?

(a) COX1は胃粘膜や腎臓などで胃粘膜を酸から保護したり、腎臓の血流量を維持したりする働をしてます。

(b) COX2は普段休眠状態で、怪我をしたときや炎症による刺激が加わったときに、局所に現れてプロスタグランジンを作ります。

これらCOXの作用を抑制する「消炎鎮痛剤はどの様なものがあるのでしょうか?一般的な物を説明します。

(1)「選択的COX1阻害剤」(アスピリン、ボルタレン、ロキソニン等の消炎鎮痛剤<NSAIDs>)

胃の粘膜を保護するプロスタグランジンの産出を抑えて胃を荒らします。また、交感神経を刺激する作用が強いため、使用頻度が多くなるほど、交感神経緊張状態に拍車がかかり、血流が悪くなり顆粒球が増加して負担が増えます。消炎鎮痛剤を処方されたら、胃を保護する胃薬も一緒に処方されていると思います。消炎鎮痛剤は交感神経を亢進させて、血管運動性に影響を及ぼすためです。

(2)「選択的COX2阻害剤」(モービック、セレブレックス等の消炎鎮痛剤)

COX2の働きだけを抑えて局所の炎症反応を鎮める作用があります。COX1の働きは抑えないため、胃の粘膜を荒らしたり、交感神経の緊張を招かず副交感神経を優位にしたまま痛みをとる作用があります。

以上からみると、痛みを和らげる目的として現代薬が必要な場合は、選択的COX2阻害剤を短期間だけ用いることが賢明でしょう。

(現在ではCOX2阻害剤の副作用も問題視されています。)ここで言う事はあくまでも慢性的に使用する事ではなく、一時的な使用を言っています。)

最後に痛みの治療で大切なことは、痛みが無いときに(楽な時)行なうセルフケアについて述べます。

 これは様々な痛みに限らず、妊活においても非常に重要な考えですので参考にしてみて下さい。不妊症の原因の一つに体内で炎症が生じているという考えもあります。


1. 副交感神経を刺激し血流を改善する。つまり、リラックス。(体操、ストレッチ、爪もみ、半身浴など)

2. ストレスをためない事(前向きな気持ち)

3. 休息をきちんととる事(疲れは交感神経を刺激します)

4.*食事の改善(特に大切)

リノール酸系のお食事(特にお肉や油物などに多く含まれる)を多く召し上げっている方はリノレン酸系のお食事(穀物・緑黄色野菜・海草・青魚)に切り替える事をお勧めします。先にも述べましたが、リノール酸は体内に入るとアラキドン酸に変化して、さらにこのアラキドン酸はその後様々な過程を経て、発痛増強物質(今回のポイント)であるプロスタグランジンを産出するためです。これらのことをきちんと気をつけると、再発を予防できます。逆に言うと、これらの事をきちんと行わないと、いつまでも痛みからは離脱できない。と言う訳です。

 お薬は何だかとっつきにくいし勉強は嫌な方も多いと思いますが、正しい知識と健康増進の意識を持って、自分の身体を自分で管理する「セルフメディケーション」でいつまでも健康生活を送りましょう。

西宮/苦楽園 鍼灸整骨院 悠玄堂

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