冷え性・低体温

現在、日本人の多くは低体温化が進み特に女性で冷え等でお悩みの方が目立ちます。その理由としては、女性は男性に比べて骨格筋が少ない事や月経リズム、ホルモンバランスの影響等がありますが、現代人の場合は、不摂生な食生活からくる極度な貧血や、身体を冷やしやすい服装、職場等での空調環境、運動不足など生活習慣要因を伴っているようです。

身体が冷えるとどの様な生体反応があるかというと、自律神経(交感神経)の働きによって血管が収縮して血流が減少し熱の放散を防ぎ、同じく立毛筋が働くことによって体毛が周りの空気を断熱材代わりにして毛が立ちます。鳥肌と言えばわかり易いと思います。人体は無意識に身体を保温するための防御反応を起こすわけです。

低体温の症状だと常にこのような状態が持続しているようなものです。血液の循環が悪くなり、骨格筋からのエネルギー(ATP)の産生が低下するため、常に緊張状態で肩こりや腰痛などの痛みが起き易くなります。

血中に含まれる過剰な糖質や脂質なども通常は熱エネルギーにより燃やされるところが、血中にだぶついてしまい、肥満や糖尿病の原因にもなります。また、発汗機能も低下するため汗がかきにくく通常排出されるべき老廃物も排出さないため、肌荒れや疲れも表れやすくなります。

妊活においてATPの産生低下は、妊娠率や卵子の質にも影響すると考えられており、血中の糖質がだぶつくことは糖化を招きます。

がん細胞は熱に弱く、低温を好む事をご存知でしょうか?がん細胞は特に35.5度以下の環境が活性化しやすいようです。現在のがんの三大治療法は、①外科治療②放射線治療③薬物療法です。他に免疫療法や温熱療法などあり、その中に欧米ではすでに行われているのですが、がんの熱に弱い性質を利用した温熱免疫療法と言う治療法があります。それは、HSP(ヒートショックプロテイン)の働きを利用したものです。

人間にはHSP(ヒートショックプロテイン)と言う、熱(ヒートショック)に対して反応するタンパク質を持っています。細胞は、43℃以上の熱が加わるとタンパク質が壊れてしまいますが、42℃までの熱が加わると先ほど述べたHSPの生成が誘導され、自己と非自己(がん細胞)の識別能力が高まると同時に免疫力が向上します。この治療法は簡単に言うと自分の免疫力を活性化し自分の治癒力で治すものです。

身体を温める温熱免疫療法のひとつに、昔から民間療法でなじみのある湯治があります。湯治は、実際に、一日に2度、3度休憩を挟みながら温泉に入りますが、温泉成分が生体に特有な反応を与えている他、このHSPを活性化している事も考えられます。

それでは、何回も行なえばそれだけ効果が得られるのでしょうか?残念ながらそうではありません。HSPの活性化は1日目、2日目は活性化していくのですが、4日目をピークにその後は効果が減退していくようなのです。過ぎたるは・・・と言うことわざがありますがまさにその通りのようです。1日に休憩を挟みながら2度、3度入る事を2、3日間行なった後、1、2日間を空けてまた行なうと言うのが理論上では効果が持続すると言う事になります。

これは、湯治に関してなので縁がない人のほうが大多数でしょう。しかし、HSPは熱に対して活性化するタンパク質ですので、湯治に限らず身体を温めることによりその効果は期待できます。身体を温める事は、入浴など加温に限らず、陽性食品の摂取なども含まれます。

その他にも何か方法は無いのでしょうか?

実はHSPは熱だけに反応するのではなく、どんな侵害刺激(ストレス)でもつくられるので別名「ストレス・タンパク」とも呼ばれます。つまり、鍼灸や按摩、マッサージ、整体・・・などの代替医療や適度な運動や体操、寒風摩擦といった刺激でもHSPを活性化することができます。中でも特に熱がHSPを最も多く増加させることが出来るわけです。昔から民間で言われる、身体を冷やすことは病気を招き、温めると未病を防げると言うのもHSPで考えると納得のいく話です。

最後に、はじめに述べた現代人の低体温は生活習慣病のほか、女性は特に気になる美容やダイテット、妊活にも関与しています。HSPはがんなどの疾患に限らずこれらの症状にも効果が期待されているのです。

当院では、このHSPの作用を治療に取り入れており、鍼灸や整体以外に遠赤外線治療器「サンビーマー」を導入しています。

サンビーマーは、産婦人科学会で不妊症に有効性が示されています。遠赤外線はどれでも不妊症に効果があるわけでなく、5㎛~10㎛の周波数が効果があるとされ、このサンビーマーだけがこの周波数を出す遠赤外線治療器です。

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